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ズズのズッキーニ [絵本]


ズズのズッキーニ








なんか、悲しい話ばかり紹介してきたので、今度はちょっと笑えるお話を紹介します。今回は夏にぴったりな一冊です。

ズズとミミズみたいな生き物モズの物語です。
ズズが朝になるとテントから出るので、モズは仕方なくついて行きます。
モズが種をまき、その上にズズが水を掛けます。そのシーンでの恐竜の形のジョウロが何ともいいです(笑)。みたい
最初は何の種かわからなかったのですが。やがて大きくなってズッキーニがなりました。そして、ズッキーニは持ち運べないぐらい大きくなります。
ズズは、大きなズッキーニで舟を作ることにします。勿論、あまったズッキーニはちゃんと食べました。次の日、ズズはその舟で海に出る事にしました。モズの心配をよそに、ズズは舟遊びを楽しみます。勿論、モズの勘が当たります。魚が舟を食べはじめたのです(もともとおいしいズッキーニですからね)。これぐらいなら大丈夫だと思っていましたが、今度は大きな魚が来て舟を半分食べてしまいます。
たまたま近くにあった小さな島に逃げられたものの、どうしたら家に帰れるのか、モズは途方に暮れてしまいます。しかし、ズズはいい事を考えます。
・・・詳しい事はあえて伏せておきますが、何とか家に帰れました。
そして、なんと!ズズは島にあったヤシの実をちゃっかり持ち帰っていました。で、モズはただそれを見ているしかありませんでした。この様子だと、懲りずにまたなんかやりそうですねぇ(笑)。なので、ズズたちの後日談が聞きたいところですな~。

テントで暮らしている様子を見ると、ズズはスナフキンみたいな自由を愛する旅人なのかな?と思います(見た目も似てるしね)。
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島ひきおに [小説、童話]

また、夏休みの読みたい一冊です。



山下明生・童話の島じま〈3〉梶山俊夫の島・島ひきおに








この「島ひきおに」という物語は作者がある伝説を基に書いた童話だそうで。

「島ひきおに」のあらすじですが、昔小さな島に鬼が独りぼっちで住んでいて、寂しい日々を送っていました。船が通る度に「こっちに来て遊んで行け!」と声を掛けますが、当然ながら怖がって誰もよりつきません。
ある荒らしの晩、たまたま通りかかった船が、助けを求めようとして島へ立ち寄ります。鬼は大喜び。漁師に話しかけます。漁師たちはびっくり!そして、「命ばかりはお助けください」と鬼に頼みます。鬼は、
「独りじゃさびしいから、あんたたちと一緒にくらしたいけど、どうしたらいいのだ」
と訊きます。すると漁師は思わず、
「私たちの島はせまいので、あなたが住んでいる島を持ってきたら一緒に暮らせるでしょう」
と、いってしまいます。
次の日から鬼は、いい事聞いたとばかりに、早速島を引っ張る準備をします。最初の日は島の下を削ります。そして3日目には島を引いて海を歩き始めました。
そしてようやく浜辺の村に着くと、
「おーい島を引っ張って来たぞ。こちに来て遊んで行け!」
とみんなにいいます。「鬼の島が真ん前にあったら漁にも出らない」と、村人たちは困ってしまいます。まさか本当に島を引いて来るとは思わなかったでしょうから。そして、やせっぽっちの3人の村人が出てきて、
「私たちの村は貧乏でこの通り骨と皮だけです。食べてもおいしくありません他のところへ行ってください」、「みんな腹がペコペコで遊べるものが1人もいません。ほかの村へ行ってください」
とわざと死にそうな声でいいます。鬼は仕方なく島を引いて別な村へ行きます。
いつものように「遊んで行け!」といいます。その村でも相談が始まります。すると一番年を取ったおじいさんが鬼のところへ出かけて行きました。
「わし1人を食べて他の村へ行ってください。わしの骨は息子が取りに来ます」
といって、鬼と一緒に寝ます。次の朝、おじいさんは、鬼が寝ている間に、隠し持っていた犬の骨を、寝床に入れて逃げ帰ります。鬼はびっくり仰天!おじいさんの代わりに骨が寝ていました。
やがて、おじいさんの息子がやって来て、骨を取りに来ます。
「骨はあるが、わしが食べたんじゃない」
と、おじいさんの息子にいいますが、
「寝ているうちに間違えて食べてしまったんだろう」
といわれ、また島を引っ張って海の中を歩き始めます。
その後もいろんな村を訪れるのですが、何等かの理由を付けられては村をたらい回しにされます。
そして、何年もそうしているうちに島は波に削られ消えてしまい、鬼はやせ細ってしまいました。

妖怪が人間と仲良くしようとした点では先日お話した「かっぱのめだま」と似た所がありますが、大きな違いは、鬼も悪い事したわけではないし、自分たちを守ろうとした村人も悪くないんですね。だから、どちらも、責めようがないんですね。しかも、誰も幸せになれないんですね。

「島ひきおに」はこれで終わりかと思いきや、まさかの続編!「島ひきおにとケンムン」というお話がそれなんですよ。ある島に流れ着いた鬼はケンムンという怪物と仲良くなります。ケンムンとは河童みたいな妖怪です。ネタバレなしでいうと、鬼にやっと仲のいい友達ができたのに・・・、という感じですかね・・・。あと、ケンムンの悲しい過去も見ものです!

「島ひきおに」と「島ひきおにとケンムン」、どちらも、誰からも理解してもらえない、森を荒らして環境破壊をする人たち、愛すべき者を失う、など、これらは現実に起きている事なんですね。

ちなみに、「島ひきおに」と「島ひきおにとケンムン」、どちらから読んでも問題ない作りになっています。
勿論、「島ひきおに」シリーズ以外の物語も収録されています。
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かっぱのめだま [絵本]

夏休みだなんてそんな事いってる場合じゃないのですが、今回は夏休みに読みたい一冊を紹介します。




かっぱのめだま (理論社のカラー版愛蔵本)








ある淵に河童が住み着きました。それからというものその淵には気味悪がって誰も近づかなくなりました。という訳で人間と仲良くなりたいのに河童はいつも寂しい思いをしていましたが、自分が姿を見せたらみんな怖がると思い、水の中でただただじっとしていました。
そんなある日、通りすがりの商人に声をかけられます。怪しいと思いつつも取り合えずその商人と話をしてみる事にします。すると商人は、「甲羅を何日も日に当てると甲羅が溶けて人間になれる」といいます。
翌日、河童は教わった通りにしてみる事にします。岩の上に登った河童はキレイな景色を見たり、遠くから聞こえるお祭りの音にすっかり感動してしまいます。「人間になれればあのお祭りを見に行ける・・・」と期待して甲羅干しをはじめます。
しかし、あの商人の本当の目的は、高く売れるという河童の甲羅を手に入れる事だったのです。なぜこの手を使ったのかといいますと、河童は妖怪だし下手に殺せば祟りがある、と考えたからです。
しかし、甲羅よりも先に溶けたのは柔らかい皮でした。そして岩にへばりついてしまい、頭の皿の水は沸騰してしまいます。河童は薄れゆく意識の中、通りがかりの子供たちの声を聞きます。
やがて河童は体が干からびて、頭も夏ミカンほどの大きさになって風で落ちてしまい、そこには甲羅だけが残っていました。
すると、あの商人がやってきて「もういいだろう!」とばかりに、大喜びで甲羅を抱えます。すると、「おらの甲羅なくなったかね?」という不気味な声がします。足元には河童の目玉が2つ残っていてこちらをじっと見ているのです。商人は悲鳴を上げてそのまま淵に落ちてしまいます。


どちらかというと悲しい話なんですが、絵本でありながらもホラーの要素も入っています。でも面白いです(笑)。あと、たとえそれが、妖怪や怪物であったとしても相手を騙してはいけないよ、という戒めも入っているんですね。という感じで寓話的な部分もあるんですね(笑)。
勿論、こういった事は現実にもあるんですよ。例えば、詐欺などで騙されたと気づいた時はすでに遅かった・・・、とか。

もう一度いいます。河童は人間の友達がほしかったんです。せめて同族の仲間がいればのよかったのに・・・。でもかといって「泣いた赤鬼」みたく、大切な仲間を犠牲にして何かを得るのは考え物です。
または「キリクと魔女」みたく優しくて勇気のある人が話かけてくれれば・・・、とも考えました。

この物語をネットでたまたま知り、まったく救いがないのかと思いきや、いざ読んでみればそうでもなかったのです。
やがて甲羅干しをした岩のそばに社が建てられ、お祭りが開かれるようになります。評判の賑やかさです。
そして、岩にくっついた目玉は誰かが通る度に、ただただニヤニヤ笑っていました。
なので、河童が見たかったお祭りが開かれるようになったのがせめてもの救い、あと商人は自業自得だっから結末としては悪くないほうだし、もし商人がこれで大儲けしていたらそれこそ救いのない話になっていたんじゃないか、と思うんですよ。そして最後のページには、子供たちをうれしそうに見ている河童の目や(子供たちも河童に親しげにしている様子)、河童祭りの絵もあります。

あと、キリクと魔女のお話は別の機会にいたします。
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