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セロ弾きのゴーシュ [小説、童話]

セロ弾きのゴーシュ

ジャンル 小説、童話


読書の秋ですね。今回も無料の電子書籍を紹介します。
これもおそらく、誰でも知っているお話だと思います。

主人公のゴーシュは活動写真館(映画館)の楽団でセロ(チェロ)を弾く係りでしたが、あまりにも下手なので、いつも楽長に責められてばかり。
ある夜練習をしていると、動物たちが次々とやって来て、何か理由をいっては、セロを弾いてくれといいます。
そして、気が付いたら上手になっていて、楽長をはじめ、みんなから認められるようになった、という感じの内容です。そして、訪れた動物たちに対して、ひどい事をしてすまなかったな・・・、とか。

物語も短く、文章も子供向けなので、何度も読み返せますよ。
ここで、私の勝手な解釈ですが、主人公ゴーシュも最初は、「認められたい」という思いでいっぱいだったと思うのです。でも、動物たちに、頼み事をされた時は、「認められたい」という思いから、「頼みを聞いてあげよう」って感じになっていたと思います。そして、「認められたい」という思いが消えた時、初めて認めてもらえるようになる、と改めて感じました。
小さい時に何度も読んだのですが、大人になってから改めて読んだり、内容を思い出したりすると、見方も変わるものですね。

実は作者の宮沢賢治も音楽をやっていたとか。
宮沢賢治、私の好きな作家の1人なんです。私も宮沢賢治について、少しは知っているつもりです。
ちなみに、この作品は宮沢賢治が亡くなった後に発表された、とか。この間も書きましたが、小学校の音楽の授業や発表会の練習は、先生に責められてばかりいました。私自身もヘタだったのですが、プロのオーケストラじゃないのでもう少し大らかになってもいいんじゃない、と思いました。おまけにプライドまで傷つけられたので、しばらく怒りが収まりませんでした。小学校時代の先生に謝ってもらいたい、自分が同じ目に遭ったぐらい傷つけてやりたい、という思いでいっぱいでした。こんな事を書いても「うっとおしい」と思われるのがオチですが、あえて書きました。
先生のいっている事は正しいのはわかっています。でも、プライドを傷つけられては聞き入れる事ができません。そういえば、この世の中を動かす暗黙のルール―人づきあいが苦手な人のための物語にも「プライドを傷つけられたものは相手を傷つけ返そうとする」とか「正しいかどうかよりも、相手の気持ちを大事にする事だ」というような事が書いてあります。
おっと話が少しそれてしまいましたね(笑)。なので、小学校卒業後は、ゴーシュと自分を重ね合わせていました
そうそう、「大らか」というのは、心がゆったりしていて、細かいことにはこだわらない、という意味ですよ(笑)。

もしかしたら、私みたく、ゴーシュと自分を重ね合わせている方もいるかもしれません。

あ、でも、今の自分がここにいるのも宮沢賢治のおかげかな?
宮沢賢治、ありがとう!
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コメント 4

majyo

始めましてマジョと申します。
宮沢賢治の短編は読んでいたはずなのですが
今や昔、忘れています。
時々青空文庫で読み返すと、今の方が入りやすい
人間の価値感とは普遍ですね。

>「認められたい」という思いから、「頼みを聞いてあげよう」

これは素晴らしいです。
しかし、若い時に理解していたかどうか不明です
by majyo (2015-10-02 22:15) 

don

こんにちは~
やっぱり名作は色々と考えさせられますね。
映画の「セッション」を見ると、
「認められたい」や「先生に対する怒り」が芸術を生んでいます。

これは本作の映画監督自身にも言えることでした。
(ほぼ自叙伝で、先生への怒りがアカデミー賞3部門を生んだ)

本当に「ほめて伸ばす」のがいのか、
「苦労させる」のがいいのか、
両方ありえる。その人によるのかなぁと思っています。
by don (2015-10-03 11:28) 

のべる・K

>majyoさん

はじめまして。
宮沢賢治、いいですよ~。
昔、読んだ本をもう一度読むのもいいですよ~。

改めて読んで、そう思ったんですよ。
勿論、昔はそこまで考えなかったんですけどね(笑)。
by のべる・K (2015-10-03 21:42) 

のべる・K

>donさん

こんにちは。
昔の名作はいいですよ~。最近、このような作品は少ないですからね。
今、「セッション」について調べてみました。おっしゃる通り、この映画も「セロ弾きのゴーシュ」と似通ったところがありますね(笑)。

「褒めるか」、「苦労させるか」、確かに、人にもよりますが、あとはケースバイケースだと思いますよ。
by のべる・K (2015-10-03 21:50) 

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