SSブログ

死体入門 [科学]

死体入門 メディアファクトリー新書 / 藤井司 【新書】



「なに新年から縁起の悪い事いってんの!」とツッコんでいる方も多いと思います。
そんなあなたも何いってるんですか(笑)、一休さんも、サレコウベ(人間の頭の骨)を竹竿に引っかけて、それを持ち歩きながら「ご用心、ご用心、門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」といいながらお正月の町をあちこち回ったそうです。つまり、お正月が来たら、それだけ年を取るから死へ近づいているんだよ、という意味ですね。
それに、医者や葬儀屋、警察だってどんな日であろうとも、死体と顔を合わせているようなものですよ!

死体にまつわる話が書いてある本です。死体を医学的に、そして科学的にいろいろ調べて行きます。
死体を使った実験や解剖学など、ちょっと気持ち悪いけど、興味深い話がいっぱいです。
死体はどのように腐って行くのか、ミイラの話についてなどわかりやすく書いてあります。
意外な事に、骨も多少は腐るそうです。
その他にもいろんな葬儀や孤独死などのミイラに関する悲しい事件の事も書かれています。
著者が、死体は「語る」のではなく、生きている人が語らせるものだ、という表現も面白いです(笑)
何とも面白いのが、ゲームや映画でもよく見かける、ガイコツ兵の話です。あれは靭帯も筋肉がないため幼稚園児よりも弱いとか(笑)。なるほど、ガイコツのお化けがもっとも弱いモンスターとして描かれる事が多いのもうなづけます。そういえば、ゼルダの伝説のガイコツ兵は、結構すばしっこいような気がします。もしや肉がついてない分、素早い動きができるとか?
特に、死体が骨になるまでの様子を描いた絵巻は見ものです。

そして、ぜひ読んでほしいのが、最後に書いてある、「汝の肉体を愛せ」というところですね。そこにはこう書かれています。以下本書からの引用です。

どんな人にも個性がある。
(中略)まったく同じ個性をもった人間は、この世に二人と存在しない。特に肉体は誰もが個性的で、その人以外には持ち得ない特徴が多く存在する。個性的なのは顔や体つきなどの表面に現れるものばかりとは限らない。体の内側にも限りない個性が宿っている。内臓の形や位置、血管や神経の走行、筋肉の強さなどは、人によってすべて異なっている
(中略)極端な例を挙げれば、心臓のように本来左にあるはずの器官が右側に存在する「内臓逆位」といった異変もある。

つまり個性は目にみえるものばかりではない、という事ですね。その他にも指の指紋やDNAにしても、同じものをもった人間はまずいないですよね。みんながこのような考えを持っていれば、いじめや差別はなくなると思うのですが、なかなかそうは行かないですよね。

このような話はテレビではあまり見ないので、素晴らしい一冊だと思います。
コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。